ユーロ:ガベージタイムに突入
Morning FX
6月下旬以降、ユーロ/米ドルは1.14付近で推移しつづけ、変動幅はわずか100pipsにとどまっています。実現ボラティリティは低下し、インプライド・ボラティリティも低水準となりました。1ヶ月インプライド・ボラティリティは5.0%を下回り、この5年間でほぼ最低水準です。
図:EUR/USD インプライド・ボラティリティ
米ドル指数に最大の影響を及ぼす要素として、ユーロの低ボラティリティは為替市場全体の低迷を直接招いています。脱ドル化および金融政策の軸が後退した後、ユーロは「消化試合」状態に入っています。
1. 金融政策の方向性が一致
年初には、市場は米連邦準備制度理事会(FRB)が労働市場の圧力を考慮して予防的に2度の利下げを行うと予想し、欧州中央銀行(ECB)は実質金利がより低いことから動かずにいる余地が十分にあると見られていました。しかし、原油価格が100ドルを超えると、米欧の金融政策は一致する方向に転じました。
図:ECBとFRBの年末政策金利予想
ECBは6月にいち早く利上げを実施しましたが、ラガルド総裁は月末に方針を急変し、今後はしばらく政策を据え置く十分な理由があると発言しました。この見解は今回のインフレを第2類の外部ショック、すなわち小幅かつ一時的な目標からの乖離と位置づけ、ECBとしては慎重に政策調整を進めるべきだとしています。まず一度利上げを行い、インフレ期待が逸脱するのを防いだ上で、以降は様子見モードに入った形です。
一方FRBのインフレ抑制への姿勢は変わりません。6月のCPIが予想以上に鈍化した後も、ウォシュ理事はインフレ抑制が絶対的な任務であることを強調しており、7月の利上げの可能性はまだ残っています。現状、ECBもFRBも年内の利上げは1~2回程度の確率に収束しており、金融政策の収束がユーロの低ボラの主因です。
2. 貿易の新たな主軸、ユーロ/人民元は安値圏へ
戦争による原油価格の高騰や、それに伴う中欧間の貿易摩擦が重なったことで、ユーロ圏経済の脆弱性が露呈しました。脱ドル化のトレンドが止まった結果、ユーロは貿易赤字の内生的な埋め合わせが難しい状況に陥っています。
図:ユーロ/人民元
為替レートへの影響としては、ユーロ/人民元は年初の最高値8.34から現在の7.72まで下落し、人民元に対しての下落幅は円に次ぐ大きさとなっています。6月の貿易統計では、中国の対EU貿易黒字が過去最高を記録しました。投機的なポジションが解消され、本格的なユーロ売却圧力が継続的にEUR/CNYを実勢水準まで戻す流れにあります。中欧間の輸出競争力の格差が拡大する中、ユーロは周期的かつ構造的な二つの下落圧力に直面しています。
図:ヨーロッパの対中国貿易赤字
3. まとめ
(1)ユーロは6月以降、低ボラティリティの状態に陥り、インプライド・ボラティリティは過去最低水準にまで低下しており、米欧金融政策の収束が主因となっています。
(2)ユーロ/人民元も年初来安値に到達し、中国・欧州間の貿易バランスが大きく崩れており、ユーロは構造的な下落圧力に直面しています。
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