英国歳入税関庁(HMRC)、暗号資産保有者8万人に税務警告書を送付
HMRC英国歳入税関庁は暗号資産保有者8万人に税務警告書を送付
英国の税務当局である歳入税関庁=HMRCが、暗号資産投資家に対する税務取り締まりを急速に強化していることが明らかになった。
BBCが情報公開請求を通じて取得したデータによると、HMRCは2025/2026年度において、未納税金の疑いがある保有者へ8万1,000通を超える書簡、メール、SMS含む警告文書を送付したことが明らかになった。これの数字は2023/2024年度の約2万7,700通から約3倍に急増した数字である。
急騰相場による譲渡益の未申告を警戒
背景にあるのは、2022年末から2025年にかけて展開された暗号資産市場の強気相場=ブルランだ。ビットコイン価格が約1万4,000ポンド(300万円)から一時9万ポンド(約1,950万円)近くまで高騰したことで、多くの投資家に膨大なキャピタルゲイン(譲渡益)が発生した。
英国の税制では、暗号資産の売却や他銘柄への交換、物品・サービスの購入に充てた際も課税対象となる。HMRCは、相場の上昇期に生じた未申告利益が依然として多額に上るとみており、自己申告を促す通知を送付。申告を怠った場合、未納額の最大100%に達する追徴罰金や利息が課される可能性があり、海外取引が絡むとペナルティはさらに重くなるとのことだ。
若年層の誤認と海外連携による逃げ場なしの法改正
会計事務所UHY Hacker Youngのニーラ・チョーハン(Neela Chauhan)氏によると、暗号資産トレーダーには若年層が多く、税務署との接点が乏しいことから「自分の取引は捕捉されていない」と思い込む傾向があると指摘。しかし、税務当局側は投資家の脱税行為に厳しい視線を注いでいるのが現状だ。
さらに、国際的な透明性を高める新たなルールが導入される予定だ。2027年3月以降、海外の暗号資産サービスプロバイダーに対し、英国人顧客の取引データをHMRCに開示することが義務化される。これにより海外拠点を介した未申告も一元把握が可能となる。チョーハン氏は「データの補足後は、標的を捕捉するのが極めて容易になる」と警告している。
HMRCはこの情報連携強化により、2030年までに約3億1,500万ポンド(約683億円)の税収増を見込んでいる。
金融機関の厳しい姿勢と市場成長への課題
税務取り締まりの強化が進む一方で、国内の金融環境との摩擦も浮き彫りになっている。英国の主要銀行は暗号資産関連企業や取引に対する規制姿勢を強めており、事業者や投資家が銀行口座の開設に難航する事例が相次いでいる。
国会議員らで構成される超党派グループからは、過度な制限が「英国におけるデジタル資産市場の健全な発展を阻害する大きな壁となっている」と懸念する声も上がっており、厳格化する税務管理とイノベーション支援のバランスが今後の焦点となりそうだ。
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